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オシロスコープの使い方:スケール、トリガ、測定

読了時間 7 分 · bitGateLab チーム

マルチメータが教えてくれるのは一つの数値ですが、オシロスコープは信号の形を時間に沿って見せてくれます。正弦波がクリップしていないか、電源にどれだけリプルがあるか、フィルタの出力が入力に対してどれだけ遅れているかが分かります。最初はつまみの多さに圧倒されますが、すべては四つの考え方に集約されます。垂直スケール、水平スケール、トリガ、そして結合です。このページでは、それらの調整方法と、振幅、周期、周波数、位相差を具体的な数値で測る方法を学びます。

画面:電圧対時間のグラフ

オシロスコープの画面は目盛り線(グリッド)で区切られていて、一般に横 10 目盛り、縦 8 目盛りです。縦軸は電圧、横軸は時間を表します。どの測定も、目盛りを数えて、対応するスケールを掛けるだけです。

電圧 = 縦の目盛り数 × (V/div)
時間 = 横の目盛り数 × (s/div)

各目盛りには、ふつう中央の軸に沿って五つの補助目盛りが付いていて、0.2 目盛りの分解能で読み取れます。

垂直スケール(V/div)と位置

垂直スケールのつまみは、一目盛りが何ボルトを表すかを決めます。値は 1-2-5 の系列に従います:10 mV、20 mV、50 mV、100 mV、200 mV、500 mV、1 V、2 V、5 V… 位置のつまみは、スケールを変えずに波形を上下に動かします。これを使って、0 V の基準を都合のよい位置に置きます。

実用上の目安は、信号全体が画面に収まる範囲で、最も感度の高いスケールを選ぶことです。6 目盛りを占める信号は、半目盛りしか占めない信号よりずっと正確に測れます。

×10 の減衰プローブを使う場合、実際の電圧は、補正しないときに表示される値の十倍です。チャンネルをプローブの減衰比に合わせて設定するか、読み取った値に自分で掛け算をしましょう。

水平スケール(s/div)

時間軸(タイムベース)は、横の一目盛りがどれだけの時間を表すかを示します。画面全体は 10 × (s/div) に相当します。周期を正確に測るには、完全なサイクルが二つから五つ見えるようにするのがよいでしょう。一サイクルに満たないと周期は測れず、何十サイクルも表示すると細部がつぶれてしまいます。

Δt CH1 実線、CH2 破線 · 2 V/div · 0.5 ms/div
10 × 8 目盛りのグリッド上の、500 Hz の二つの正弦波。CH1 はピークツーピークで 6 目盛り、周期は 4 目盛りです。CH2 は、CH1 より 0.4 目盛り遅れて立ち上がりのゼロクロスを通ります。

例題 1:振幅、周期、周波数。図では、垂直スケールが 2 V/div、水平スケールが 0.5 ms/div です。

  1. CH1 は +3 目盛りから −3 目盛りまで振れています:6 div × 2 V/div = 12 V(ピークツーピーク)。
  2. 振幅:12/2 = 6 V(ピーク値)。正弦波なら、実効値は 6/√2 = 4.24 V です。
  3. 一サイクルは 4 目盛りを占めます:T = 4 × 0.5 ms = 2 ms。
  4. 周波数:f = 1/T = 1/0.002 s = 500 Hz。
  5. CH2 はピークツーピークで 4 目盛りです:8 V(ピークツーピーク)、つまりピーク値 4 V。

トリガ

オシロスコープは、画面を何度も掃引しながら信号を描きます。掃引のたびに波形の違う位置から描き始めると、波形が重なり合って「流れて」見えてしまいます。トリガがこれを解決します。信号が決まった電圧を決まった向きに横切ったときにだけ掃引を開始するので、すべての掃引がぴったり重なり、画像が静止します。主な設定は次のとおりです。

二チャンネル間の位相差

同じ周波数の二つの信号を画面に表示して、対応する二点(たとえば立ち上がりのゼロクロス)の間の時間差 Δt を測り、度に換算します。

φ = 360° × Δt / T

二つ目の信号が基準の信号より後に来れば遅れ、先に来れば進みです。精度を上げるには、ゼロクロス付近で時間軸を拡大するか、両チャンネルで同じ垂直スケールを使い、波形をゼロを中心にそろえます。

例題 2:位相差。図では、CH2 は CH1 より 0.4 目盛り遅れて立ち上がりのゼロクロスを通ります。

  1. Δt = 0.4 div × 0.5 ms/div = 0.2 ms。
  2. φ = 360° × 0.2 ms/2 ms = 36°。
  3. CH2 は CH1 より 36° 遅れています。

応用:テーマ「交流とフェーザ」で扱った RC 直列回路(1 kΩ、1 µF、100 Hz)では、電流と同じ波形になる抵抗の電圧が、電源より 57.9° 進んでいます。T = 10 ms なので、Δt = 57.9/360 × 10 ms = 1.61 ms が観測されるはずです。オシロスコープで電流の位相を測るには、このように抵抗の電圧を利用します。

DC 結合と AC 結合

各チャンネルには、結合の切り替えがあります。

例題 3:リプルの測定。ある電源は、直流 5 V に 0.2 V(ピークツーピーク)のリプルが重なった電圧を出力します。

  1. DC 結合、2 V/div では、波形は中央より 2.5 目盛り上に現れ、リプルはわずか 0.1 目盛りしか占めません。これでは見分けられません。
  2. 結合を変えずに 50 mV/div まで下げると、5 V のせいで波形が画面の外に出てしまいます。
  3. AC 結合では、5 V のレベルが取り除かれます。50 mV/div ではリプルが 0.2/0.05 = 4 目盛りを占め、その形と周波数を測ることができます。

注意:AC 結合はハイパスフィルタなので、非常に低い周波数の信号をひずませます。ゆっくりした方形波は、平らな部分が傾いて見えます。

よくある間違い

シミュレータで試してみよう

シミュレータの仮想オシロスコープには、実験室のオシロスコープと考え方の同じ操作部がそろっているので、安全に練習するのにうってつけです。

  1. 振幅 6 V、500 Hz の正弦波電源を配置し、チャンネル 1 に接続します。
  2. 垂直スケールを 2 V/div、水平スケールを 0.5 ms/div に設定し、ピークツーピークで 6 目盛り、一サイクルあたり 4 目盛りに見えることを確かめます。
  3. トリガレベルを 6 V より上に動かして、画像がどうなるかを観察します。その後、0 V に戻します。
  4. RC フィルタを組み、その出力にチャンネル 2 を接続します。ゼロクロス間の Δt を測り、位相差を計算します。
  5. 電源に直流レベルを加え、DC 結合と AC 結合を切り替えて違いを確かめます。

練習問題

  1. ある正弦波は、5 V/div でピークツーピーク 3.2 目盛りを占めます。ピークツーピーク電圧、ピーク値、実効値を求めてください。

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    3.2 × 5 = 16 V(ピークツーピーク)、ピーク値 8 V、実効値 8/√2 = 5.66 V。

  2. 時間軸が 20 µs/div のとき、一サイクルが 2.5 目盛りを占めます。周波数はいくらでしょうか。

    解答を見る

    T = 2.5 × 20 µs = 50 µs。f = 1/50 µs = 20 kHz。

  3. 1 kHz の二つの信号が、0.1 ms/div で 1.5 目盛り離れています。位相差はいくらでしょうか。

    解答を見る

    Δt = 1.5 × 0.1 ms = 0.15 ms、T = 1 ms。φ = 360° × 0.15/1 = 54°。

  4. 10 目盛りの画面に、1 kHz の信号を少なくとも三サイクル表示したいとします。1-2-5 系列のどの時間軸を選べばよいでしょうか。

    解答を見る

    三サイクルは 3 ms なので、少なくとも 0.3 ms/div が必要です。これを満たす系列の最初の値は 0.5 ms/div で、5 ms、つまり 5 サイクルが表示されます。0.2 ms/div では 2 サイクルしか見えません。