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RC ローパス・ハイパスフィルタとボード線図

読了時間 7 分 · bitGateLab チーム

フィルタは、ある周波数を通し、ほかの周波数を減衰させます。抵抗一つとコンデンサ一つだけで、センサの高周波ノイズを取り除いたり、オーディオ信号の直流成分を除去したり、低音と高音を分けたりできます。このテーマでは、受動 RC フィルタの遮断周波数の計算、デシベルによる利得の表し方、そしてボード線図の描き方を学びます。ボード線図は、エンジニアがあらゆるシステムの周波数特性を表すのに使うグラフです。複素インピーダンスにまだ慣れていない場合は、先に交流とフェーザを復習してください。

伝達関数

伝達関数 H は、出力のフェーザと入力のフェーザを結びつけます:H = Vout/Vin。周波数に依存する複素数です。その大きさ |H| は信号がどれだけ増幅または減衰されるかを、角度はどれだけ位相がずれるかを表します。RC フィルタはインピーダンスによる分圧回路なので、H は分圧の式で求まります。

RC ローパスフィルタ

抵抗を信号と直列に、コンデンサを出力とグランドの間に入れます。低い周波数ではコンデンサはほとんど電流を通さず(XC が大きい)、出力は入力とほぼ等しくなります。高い周波数ではコンデンサが短絡のようにふるまい、出力はゼロに近づきます。

H(f) = ZC / (R + ZC) = 1 / (1 + j·f/fc)

fc = 1 / (2πRC)

|H| = 1 / √(1 + (f/fc)²)        位相 = −arctan(f/fc)

遮断周波数(カットオフ周波数)fc は、XC = R となる周波数です。そこでは |H| = 1/√2 = 0.707、位相は −45° です。この周波数では出力電力が入力電力の半分になるため、半電力周波数とも呼ばれます。

RC ハイパスフィルタ

素子を入れ替えるだけです。コンデンサを直列に、抵抗を出力とグランドの間に入れます。今度はコンデンサが直流と低い周波数を阻止し、高い周波数を通します。

H(f) = R / (R + ZC) = (j·f/fc) / (1 + j·f/fc)

|H| = (f/fc) / √(1 + (f/fc)²)        位相 = 90° − arctan(f/fc)

遮断周波数は同じ式 fc = 1/(2πRC) で計算します。fc では大きさは同じく 0.707 ですが、位相は +45° です。出力が入力より進みます。

デシベルで表す利得

フィルタの利得(ゲイン)は何桁にもわたるため、デシベルで表します。

GdB = 20 · log10|H|
|H|G (dB)
2+6.02
10
0.707−3.01
0.5−6.02
0.1−20
0.01−40
dB の値が負であれば、減衰を意味します。電圧が 10 倍になるごとに 20 dB、2 倍になるごとに約 6 dB に相当します。遮断周波数が「−3 dB 点」と呼ばれるのはこのためです。

ボード線図

ボード線図は、周波数軸を対数目盛にした二つのグラフです。一つは dB で表した大きさ、もう一つは度で表した位相です。対数目盛では、どのディケード(周波数を 10 倍にすること)も同じ幅になります。

ローパスの場合、大きさは漸近線と呼ばれる二本の直線で近似できます。

実際の曲線が漸近線から最も離れるのはちょうど fc のところで、その差は最大 3 dB です。位相には別の近似を使います。fc/10 までは 0°、そこから fc で −45° を通って 10·fc で −90° まで下がる直線、それ以降は −90° です。この近似の誤差は 6° 未満です。ハイパスはその鏡像になります。fc まではディケードあたり 20 dB で上昇し、その後は 0 dB にとどまり、位相は +90° から 0° へ変化します。

fc で −3 dB −20 dB/dec 0−10−20−30−40 fc/100fc/10fc10 fc100 fc dB 周波数(対数目盛)
RC ローパスの大きさ。太線が実際の応答、破線が漸近線です:fc までは 0 dB、その後はディケードあたり −20 dB。最大の差 3 dB は fc で生じます。

例題 1:解析。あるフィルタは R = 10 kΩ、C = 10 nF です。fc と、ローパス型・ハイパス型それぞれの、いくつかの周波数での応答を求めてください。

  1. fc = 1/(2π · 10 000 · 10×10−9) = 1/(6.283×10−4) = 1591.5 Hz。
  2. 5 kHz では:f/fc = 3.14。ローパス:|H| = 1/√(1 + 9.87) = 0.303、つまり −10.36 dB、位相は −72.3°。
  3. 5 kHz でのハイパス:|H| = 3.14/√(10.87) = 0.953、つまり −0.42 dB、位相は +17.7°。
fローパス(dB)位相(LP)ハイパス(dB)位相(HP)
159 Hz (fc/10)−0.04−5.7°−20.04+84.3°
1591.5 Hz (fc)−3.01−45°−3.01+45°
5 kHz−10.36−72.3°−0.42+17.7°
15.9 kHz (10 fc)−20.04−84.3°−0.04+5.7°
159 kHz (100 fc)−40.00−89.4°0.00+0.6°

対称性に注目してください。一方が減衰させるものを、もう一方は通します。

例題 2:設計。fc ≈ 1 kHz のローパスが必要で、手元に 100 nF のコンデンサがあります。

  1. R について解きます:R = 1/(2π · fc · C) = 1/(2π · 1000 · 100×10−9) = 1591.5 Ω。
  2. 最も近い市販の標準値は 1.6 kΩ です。
  3. 1.6 kΩ の場合:fc = 1/(2π · 1600 · 100×10−9) = 994.7 Hz で、目標との差は 1 % 未満です。

実用上の注意点があります。これらの式は、出力に何も接続されていないことを前提にしています。R と同程度の抵抗をフィルタの負荷にすると、通過帯域の利得が下がり、fc がずれます。これを避けるには、R よりずっと大きい負荷を使うか、オペアンプによるボルテージフォロワを使います。

よくある間違い

シミュレータで試してみよう

シミュレータの交流解析は、周波数をスイープして大きさと位相を描くので、手描きの漸近線と曲線を比べることができます。

  1. 正弦波電源、10 kΩ の抵抗、10 nF のコンデンサを配置して、ローパスを構成します。
  2. 10 Hz から 1 MHz まで対数軸で交流スイープを実行し、出力を観察します。
  3. −3 dB 点を見つけ、それが 1591 Hz 付近にあり、そこでの位相が −45° であることを確かめます。
  4. 15.9 kHz と 159 kHz の間の低下を測ります。約 20 dB になるはずです。
  5. R と C を入れ替えてハイパスを構成し、スイープを繰り返します。
  6. 出力に 10 kΩ の負荷抵抗を接続し、曲線がどう変わるかを観察します。

練習問題

  1. R = 4.7 kΩ、C = 100 nF の RC フィルタの遮断周波数を求めてください。

    解答を見る

    fc = 1/(2π · 4700 · 100×10−9) = 1/(2.953×10−3) = 338.6 Hz。

  2. あるフィルタは、入力電圧の四分の一を通します。利得は何 dB でしょうか。

    解答を見る

    G = 20 · log10(0.25) = −12.04 dB。

  3. RC ローパスに周波数 2·fc の信号が入力されます。|H| を dB で求め、位相も求めてください。

    解答を見る

    |H| = 1/√(1 + 4) = 0.447 で、20·log10(0.447) = −6.99 dB になります。位相 = −arctan(2) = −63.4°。

  4. R = 10 kΩ、C = 10 nF のハイパス構成では、159 Hz の信号はどれだけ減衰するでしょうか。

    解答を見る

    f/fc = 159.15/1591.5 = 0.1。|H| = 0.1/√(1.01) = 0.0995 で、これは −20.04 dB に相当し、位相は +84.3° です。遮断周波数の一ディケード下では、ハイパスは約 20 dB 減衰させます。